IPv6 について

IP v6 とは

近年爆発的普及によりIPアドレスが枯渇寸前です(アジア地域では、2011年4 月に枯渇しました)。それは、そもそもIP アドレスが 32 ビットしかなかっ た、つまり最大でも 232 = 約43億個しかわりふれない、というこ とに根本的な原因があります。IP(v4) の仕様がきまった 1981 年当時はこれ で十分だと思っていたのかもしれませんが、インターネットの普及により、あっ という間になくなってしまいました。
世界の人口が70億人以上となった今、一人一つもないわけで、PCはもちろん、 ネットに接続したテレビやスマートフォンにも1つずつ割り振られることを考 えると、どう考えても足らないですよね…
ネットワーク技術者は 1990年代より危機感を持っていて、根本的な解決策とし て作ったのが、アドレスが 128 ビットになって桁違いにアドレス空間が広がっ たIPv6 です。2128 は十進数で39桁の数なので、当分は枯渇す ることはないです。
というか、地球が滅亡するまで足りるかも…ちなみに

340282366920938463463374607431768211456

頑張って読む と、

340澗2823溝6692穣0938秭4634垓6337京4607兆4317億6821万1456

です
とはいえ、実は根本的な問題があって、それは IPv4 と IPv6 は互換性が ない ということです。なので、なかなか全面移行に踏み切れない(とり あえず今の状況で困っていない)人・組織が多数です…とはいえ、中長期的に は移行は必然なので、最低限のところをおさえておきましょう。

IPアドレスの表現

復習をかねて: IP v4 アドレスは 32ビット = 4オクテット で表現 されます。つまり、0か1かが
10010110000010011111111001010001
のように32個並ぶわけですが(10 進数だと 2517213194) 普通は8ビットずつ区 切って、
10010110 00001001 11111110 01010001
とし、さらに各々を(なぜか16進数ではなく) 10進数に直して
150.9.254.81
のように書くのが普通です。つまり、10進数で 0〜255までの数の、4つ 組 でIP アドレスというものが成り立っていてるというわけです。
一方、IP v6 アドレスは 128ビット = 16オクテット で表現されます。つま り、0か1かが
0010 0000 0000 0001 .... 0000 0000 0001
(途中省略)のように128個並ぶわけですが、普通は 16進数 で、さらに16ビット = 16進数4桁ずつ切り分けて ":" (colon) を区切りにして、
2001:380:abcd:0:0:0:face:1
のように書きます。ここで、 0の連続は(途中の1ヶ所に限り)省略できる ことになっているので、
2001:380:abcd::face:1
のように書くのが普通です。

DNS

まず、IPv4 アドレスでも覚えるのは多くの場合厳しいのに、128 ビットの IPv6 アドレスを人間が直接どうこうする、という場面はほぼないと思われま す。そうすると、非常に大事になるのは DNS です。

現行の DNS では、IPv4 が A レコードで登録されているのに対し て、IPv6 は AAAA レコードというものでホストのアドレスが登録 されることになっています(以下参照)

$ nslookup -q=AAAA google.com
Server:         127.0.0.53
Address:        127.0.0.53#53

Non-authoritative answer:
Name:   google.com
Address: 2404:6800:400a:813::200e
ですので、DNS に関していえば、互換性を保ちながら管理することはさほど問 題がないと考えられます。

トンネリングと、ネイティブ方式

ここしばらくは、IPv4 と IPv6 が併存する時代となるでしょう。IPv6 インター ネット接続サービスを本格的に利用する場合、現状で考えられる方式には、ト ンネリング方式と、ネイティブ方式の2つがあります。

トンネリング方式

トンネリング方式とは、ユーザの自宅内とプロバイダのネットワークを NGN (Next Generation Network, 次世代通信網で、IPv6 で構成される)上に設けた トンネル で結び、その トンネル を介して IPv6 パ ケットをやり取りする方式です。NTT 東・西の場合、フレッツで内部的にロー カルな IPv6 網をすでにはっているので、トンネリングをやらないと 「マルチプレフィックス問題」 というのが発生するからなのですが、詳 細は略します。

ネイティブ方式

こちらは 最初から IPv6 アドレスをユーザに割り振 って、通信をおこなう方 式です。

いずれにしても、IPv4 と共存するために 4to6, 6to4 などの変換技術を用いて 相互乗り入れしないといけない時期がしばらく続くと思われます。しかし、長 期的には枯渇した IPv4 は使われなくなり IPv6 に本格的に移行する時がきっ と必ずくると思われますので、準備がそろそろ必要かもしれません。


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