【ビジネス発想源】


「まぐまぐ」のビジネス 発想源 というメールマガジンで、昔、週1で掲載されていた<就職活動編 >の抜粋です。

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◆【ビジネス発想源】                      http://www.winbit.biz/
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  2011/07/31                     Daily Mail Magazine by M.Hironaka
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 ●今日の発想源
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 正しいマーケティングを構築するために必ず役立つビジネスコラム。
 読み終わった後は必ず実践して下さい。実践無くして、向上無し!

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 【第2459回】 就職活動生の差
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 <就職活動篇>(その200)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。


 今回で、「就職活動篇」は連載200回を迎えました。

 1週間に1回のペースで連載してきましたから、
 連載開始から、少なくとも4、5年は経過しています。


 連載開始から4、5年ということは、
 現在大学生の皆さんが高校生の頃から連載されている、
 ということになります。

 連載開始当初の学生は、もう既に会社に入社して、
 今頃はもう部下がいたり責任者になっていたりするのです。


 これまで、たくさんの学生が
 この『ビジネス発想源』の「就職活動篇」を読んでくれました。

 私が把握しているだけでも、のべ数千人が登録をしてくれました。

 そして、社会人になっても読み続けてくれている元学生も、
 とてもたくさんいらっしゃいます。


 そんな学生読者の中から、
 私の事務所に学生スタッフとして所属することになったり、
 社会人になって仕事や企画を一緒にやったりする人もいて、
 私もとても良い出会いを頂いています。


 そうやって長い間、学生読者の行く末を見てきたのですが、

 就職活動を見事にクリアして、
 社会に出てもバリバリと活躍している人と、
 就職活動がいつまでもうまくいかなかったり、
 社会に出ても大した活躍もなくフツーに生きている人とでは、
 何が違うのかということもよく見ることができました。



 その差は何か。

 一言で言うと、「感謝の気持ち」です。



 優良な会社からの内定があっさり決まったり、
 入社してからも価値ある仕事をバリバリとこなしたりする
 大活躍のビジネスマン体質の学生は、
 不思議なことに男女問わず、同じ傾向にあるのです。


 この『ビジネス発想源』を読んでいて、筆者である私に、
 「この回の内容は、とても役に立ちました」とか、
 「この回の内容のおかげで、就職活動が助かりました」とか、
 参考になったり活用できたりしたことを、
 「感謝の気持ち」を添えてきちんと報告してくれるのです。


 この『ビジネス発想源』は、無料で読めるメールマガジンで、
 私と学生は直接会っているわけではありません。

 読もうが読むまいが、活用しようがするまいが、
 学生読者の皆さんの自由です。

 別に、筆者に対して何も発信する義理もないし、
 また筆者も見返りを求めるつもりも全くありません。

 黙っていれば、お互い全く接点のない相手なのです。

 それでも、役に立ったことはきちんと「役に立った」、
 活用したことはきちんと「活用させてもらった」と、
 自発的に筆者に伝えてくれます。


 直接会ったことがない相手であっても、
 相手に対する感謝の気持ちを持てる人は、
 仕事ができる人なのです。

 なぜそうなるかという科学的根拠は分かりませんが、
 実際にそうなのですから、真理です。


 今年もまた、読んだ感想を積極的に送ってくれたり、
 勉強会型イベント「発想源ライブ」に自発的に申し込んで、
 感謝の言葉をくれたり手伝ってくれたりする大学3年生が
 だんだん増えてきたので、次の就職活動シーズンも楽しみです。



 就職活動は、自分一人の活動ではありません。

 面接官もきちんとコミュニケーションをしてくれるし、
 試験官も時間を取ってくれているし、
 就職課の皆さんも真剣に相談に乗ってくれるし、
 関わる人みんな、それぞれ労力や時間を割いてくれています。

 そんな関わる人みんなに感謝の気持ちを持てるような学生が、
 これからの社会を駆け抜けていくのです。


 感謝の気持ちを持ちましょう。

 良い社会人になるための、第一歩です。

 心の底から感謝の気持ちを持てる人は、
 就職活動もうまくいくし、
 入社してからも大活躍をすることができます。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・就職活動をする際に、感謝すべき相手が5人います。
   誰に感謝すべきか、ノートに列挙する。
  ・その人たちに感謝の気持ちを表すとすると、いつどのような形で
   伝えるのがいいか。ノートにまとめる。

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★ 【第2466回】 就職活動と今の時間
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 <就職活動篇>(その201)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 「今からやろうと思っていたところだよー」

 「明日からはちゃんとやるからー」

 というのは、小学生あたりの子どもの常套手段です。

 今きちんとやっていないのに、
 「これからはきちんとやります」と言ってしまう。

 そういう、説得力のないことを平気で言ってしまうのが、
 ガキの思考能力の特徴です。


 これが、高校生などになると、
 そういう説得力のないことを言ってしまっても
 どうせ悪い結果が自分に返ってくることは分かっているから、
 きちんと自分で勉強をしたり部活に打ち込んだりして、

 「これだけ頑張ってきたから、明日の試験も頑張るよ」

 「こんなに頑張ったから、明日の試合も頑張るよ」

 と、自分に自信をつけていきます。



 ところが、大学生になったらなぜか
 またガキの思考能力の人間が増えてきて、
 やがて社会に出ることが分かっているのに、
 その準備や鍛錬を怠っている者がたくさんいます。

 そして、就職活動の時になって、

 「学生時代は何も考えずにノホホンと暮らしていました。
  でも、入社したらちゃんとやるんです。
  信じて下さい。だから内定を下さい」

 なんていうことを平気で言うのです。

 説得力がありません。


 就職活動は本来、お願いの場ではありません。

 「内定をもらうために、土下座でも何でもやります」
 などという頼み込みモードの人が結構いますが、
 それを「熱意を伝える」ことだと勘違いしてはいけません。


 就職活動とは、説得力なのです。

 「自分はこんなにも頑張ってきたものがある。
  だから、こういう仕事も頑張れます」

 「自分はこんなにも打ち込んできたものがある。
  だから、そういう仕事にも打ち込めます」

 という説得力が必要なのです。

 採用担当者も、履歴書や面接から
 そういうところを見ているのです。


 説得力というのは、でっちあげてもすぐにバレます。
 面接官もプロですから、ウソは効きません。

 説得力というのは結局、
 説得できるような論理的な話術のことではなく、
 本当にそういう体験を重ねてきたかどうか、
 という日々の生き方にあるのです。



 学生時代を無為に過ごしてきた人は、
 会社に入っても無為に過ごすだろうなあ、
 という説得力しかないのです。

 学生時代という時間を平気で無駄に空費してきた人は、
 会社に入っても時間を併記で無駄に空費するんだろうなあ、
 という説得力が生まれるだけです。

 今の生き方が、将来の説得力になるのです。


 今、大学3年生は夏休み中だと思います。

 ここぞとばかりに「アルバイトを詰め込もう」とか
 「飲み会に行こう」とか「旅行に行っておこう」などと、
 誰でもやりそうなこと、1、2年生でもやっていそうなことを
 平気でまだやろうとしている人がたくさんいます。

 そういう人には、
 「社会に出ても、普通の人と同じ仕事しかできないんだろうなあ」
 「社会に出ても、周りがやっていることしかできないんだろうなあ」
 という説得力しかできていないということです。

 いまや、就職内定率が数年前に比べて激減しているというのに、
 数年前の一般的な学生たちと同じような学生生活を送っていると、
 これからの就職活動を生き残ることが大変になってきます。


 将来の説得力を作るために、
 今という時間をどれだけ大切にするかが勝負なのです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・「将来の自分は有能な人間になる」という仮定が説得力を
   持つためには、どんな条件が必要か。ノートに列挙する。
  ・その条件を充たすために、今日から始めなければならないことを
   ノートに書く。

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★ 【第2473回】 就職活動と今の境遇
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 <就職活動篇>(その202)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。


 就職活動の時期になると、
 今の自分の境遇を嘆く就職活動生がたくさん現れます。


 「自分は三流大学だからなあ…。一流大学の人はいいなあ…」

 「自分は文学部だから、経済学部などとは見劣りがする…」

 「自分は資格がないから、専門学校行った人はいいなあ…」

 「自分は顔に自信がない。もっと美人に生まれていたらなあ…」


 などと自分の境遇を愚痴って、
 もっといい境遇の人を羨んでしまうんですね。


 でも、そういうのっていくら嘆いてもしょうがないのです。


 例えば、

 「自分は三流大学だから、一流大学の人はいいなあ…」

 と嘆く人に、

 「じゃあ、明日その三流大学をさっそく退学して、
  今から猛勉強して、一流大学を受験しなおしたら?」

 と言うと、

 「いやいや、今の大学を夏の途中で辞めるなんて無理です。
  しかも今から勉強し直したって春まで時間がないんですよ」

 などと返すので、

 「無理じゃないよ。夏の途中に辞めることもできるよ。
  それに再来年の受験をするなら、1年半も勉強できるよ」

 と言えば、

 「いや、1年半でも無理ですし、そんな時間もありません」

 などと、まあとにかくできない理由ばっかり言うのです。

 自分が「いいなあ」と嘆いていることに対して、
 実際にその境遇を目指すかと言えば、目指す意思はない。
 結局、大した願望ではないんですね。

 そんなことを、何時間嘆こうが境遇は変わらないのだから、
 いつまでも今の自分の境遇を嘆くのは時間のムダです。

 受け入れて、次に進むことを考えましょう。



 今の自分の境遇を最大限に活かして取り組んでいくのが、
 社会人の姿勢です。

 社会人になったら、今よりも「縛り」は増えます。

 でも、それをいちいち嘆いている人は仕事になりません。


 「こういう企画案を4日間でまとめてくれ。予算は120万円だ」

 という仕事が来た時に、

 「4日しかないのか。せめて一週間はあればなあ…」

 「120万円では大したことできないよ。せめて200万円は欲しい…」

 などと、いつまでもその縛りに嘆いている社会人は結構います。
 仕事ができない人たちです。

 「こんな縛りがなかったら、自分は仕事がもっとできるのに」

 と、いつまでもグチグチ言っているのです。

 「じゃあ1週間あげます」
 「望みどおり200万円の予算が出ました」

 という新しい境遇を手に入れたとしても、
 「でも1週間ぐらいじゃなあ…」「200万円ぽっちでは…」と、
 結局いつまでも嘆いている。

 こんな人は、どれだけ縛りを取っ払っても仕事はできません。

 「じゃあ期限はありません。予算も使い放題です。自由にどうぞ」

 と言われたって、ろくな企画を上げてこないのです。



 仕事ができる人というのは、今の境遇の縛りの中から、
 最大限のパワーを出せる  人を言うのです。

 そして、仕事ができない人というのは、
 仕事ができない理由を今の境遇の縛りのせいにする人です。


 今のうちから、
 そんな「仕事ができない癖」をつけてはいけません。



 今の境遇の縛りを嘆いていても始まりません。
 
 その境遇の縛りがあるから、今の自分があるのです。
 自分にもっと自信を持っていきましょう。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・今の自分の成長を妨げていると思われる理由をノートに列挙する。
   (例:郊外に住んでいるので情報の多い都心にあまり行けない)
  ・その理由を打破する方法をノートに書く。(例:都心に引っ越す)
  ・その理由を打破するのは不可能だと思ったら、その理由を嘆く
   ことは禁止し、その理由を嘆いた場合のペナルティをノートに書く。

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 【第2480回】 就職活動とESのコツ
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 <就職活動篇>(その203)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。


 多くの就職活動生の履歴書やエントリーシートを見ると、
 「文字数は多いけれども内容が薄い」
 というものがほとんどです。

 「履歴書やエントリーシート(ES)はどう書けばいいですか」

 という質問をする学生が多いのですが、
 実を言うと、履歴書やエントリーシートのコツは、
 「書くこと」より「書かないこと」なのです。

 みんな「何を書けばいいのか」は気にするのですが、
 実際に大切なのは、「何を書かないか」なのです。

 ほとんどの人が「内容が薄い」のですから、
 「内容が薄いぐらいなら、書くなよ」ということになります。

 だから、表現力に乏しい多くの学生の場合は、
 何を書かないようにするか、というほうが重要なのです。


 実際に、学生にESを書かせようとすると、
 「これも書きたい、あれも書いた方がいいと思う」
 と、次から次に書く内容は出てきます。

 重要なのは、それらをまとめることではなく、
 それらから内容が薄いものを省いていくことなのです。


 例えば、テレビ局を受けるという学生がよく、

 「私は幼い頃からテレビが大好きで、
  テレビに育てられたと言っても過言ではありません。
  まさにテレビは、私にとっての教師でもありました」

 などということを書いていたりするのですが、
 テレビ局を受ける人はだいたいテレビが好きなのだから、
 「私がどれだけテレビを愛しているか」
 という話は、この際別にどうでもいいことなのです。

 だから、書かなくてもいいのです。

 書いてはいけない内容というわけではないのですが、
 そんなスペースがあるなら別の有効なことを書いたほうがいい。
 だから書かなくてもいい内容なのです。

 そのように、「何を書かないようにするか」ということに
 注力していったほうが、良い内容になるのです。


 履歴書やESを書くときには、
 「何を書くか」よりも「何を書かないようにするか」
 ということに意識を持っていくようにしましょう。

 内容のクオリティが、何十倍も変わります。

 

 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・自分の良さを表わす文章をひとつ20文字以内でノートに書き、
   それを10とおり用意する。(良いところを10か所挙げる)
  ・その中からどうしても残したい2つ以外は全部二重線で消す。
  ・残った2つを、それぞれ200文字程度に書きなおす。

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★ 【第2487回】 就職活動と学生生活時間
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 <就職活動篇>(その204)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 「私は、イベントサークルで2年時に副部長、3年時に部長を
  務めてきて、リーダーシップを発揮してまいりました」

 「私は、テニスサークルで会計係を務めていて、
  予算管理をきっちりと行ない、管理力を磨いてきました」

 「私が大学時代に頑張ったことは、人脈を広げることです。
  飲み会を企画していろいろな人に出会いました」

 みたいな自己PRを面接でする学生が、
 毎年たくさんいます。

 本人は自己PRのつもりなのでしょうが、
 実際は面接官はそういう話題にはもう飽き飽きしています。


 頑張ったのはイベントサークルです、テニスサークルです、
 部長をやりました、会計を頑張ってきました、
 飲み会で人脈を広げました、協調性の大切さを学びました…

 もう、そういう学生が毎年腐るほどやってくるし、
 それを毎年繰り返しているから、もう食傷気味なのです。
 

 どれぐらい食傷気味かというと、
 そういう話題を1日に何人からも聞くという日々を、
 昭和50年代からずっと続けているというほどです。

 要するに、そういう自己PRをしている学生が、
 昭和時代から性懲りもなく絶えずいるということです。



 「大学時代に最も頑張ったのは、サークルです」

 「大学時代に最も頑張ったのは、バイトです」

 「大学時代に最も頑張ったのは、インターンです」

 「大学時代に最も頑張ったのは、短期留学です」

 もう、それ自体が時代遅れなのです。


 「大学時代にこんなサークル活動をやってきたのですが、
  これをうまく自己PRでアピールするためには、
  どのように表現すればいいですか?」

 などと言って、就職コンサルタントみたいな人に、
 一字一句チェックしてもらっている人をよく見かけますが、
 そういうのはもう、文章や表現の問題ではありません。

 もう、サークル活動で自己PRをしようとしている時点で、
 「また、サークルで頑張ってましたとか言う奴が来たか」
 という程度の印象で終わる、ということです。

 それだけ、もうそういう連中は昭和時代からあまりにも多すぎて、
 何の印象も残らないのです。



 だから、学生時代にどう行動するかというのは、
 とても大切なことなのです。

 後半になると、必ず就職活動がやってくる、
 ということは誰にだって分かっていることです。

 そのために、今の学生生活の時間をどう過ごさなければならないか、
 ということを考えた時に、その辺の普通の大学生が
 当たり前にやっているようなことしか発想できなければ、
 結局は就職活動時もその辺の普通の大学生の中に埋没してしまいます。

 その辺の普通の大学生と同じ行動をとっていては、
 いくら口先の表現でそれを面接でアピールしても、
 いくら小手先の手法でエントリーシートに書き込んでも、
 採用担当者にとっては「またいつもの奴か」と思われて終わりです。

 

 私の事務所にも、大学生のスタッフが何人もいるのですが、
 大学生の間の時間をどう使うべきかを、よく話しています。

 どうすれば、自分自身が有能な人材になり、
 就職活動も簡単にクリアできるかというヒントを教えています。

 それでもやっぱり、その辺の普通の大学生と同じようなことに
 流されていく学生が大半なんですね。
 そして実際に、就職活動の時期にいつまでも内定が決まらず、
 どうでもいいような会社に落ち着いてしまいます。



 テキトーに過ごしてきた学生生活をどうアピールするか、
 なんていうことは、
 もう面接官にとっては眼中にありません。

 どれだけ美辞麗句で素晴らしい体験だったとアピールしても、
 そういう学生が昭和時代からずっといるわけですから、
 採用担当者は簡単に見抜くのです。


 限られた大学時代という学生生活の時間を
 どのように過ごさなければならないと考えて、
 どのように費やしてきたか、という発想自体がすでに、
 その人の才能を映し出しています。

 あと数か月後、数年後に就職活動を迎える学生は、
 今の大学時代の時間を、
 どのように有効に活用していくかを考えなければなりません。

 
 今の時代、学生だからこそできる時間の使い方とは、
 どのようなことだと思いますか?



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・「自分がこれまで頑張ってきたこと」を全部、ノートに書く。
  ・それと同じことを言いそうな学生は、全国に何人ぐらいいると
   思うか。概算してノートにその人数を書く。
  ・全国に5人もいない、ということはないか。探してみる。

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 【第2494回】 就職活動と若者論
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 <就職活動篇>(その205)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 「最近の若者は…」とを言っている年配の方をよく見ます。


 「最近の若者は、礼儀を知らない」

 「最近の若者は、マナーを知らない」

 「最近の若者は、本も新聞も読まない」

 「最近の若者は、我慢を知らない」

 などなど、
 自分たちが若い頃に比べて今の若い連中と来たら…
 と言っているオッサンです。

 基本的に、そういう人ほど大して仕事ができなかったりするので
 そう言われたからといって思い詰めることはありません。

 今の若者は、新聞を読まなくてもいろんな情報に敏感だし、
 携帯電話のような機器をサラリと使いこなしているし、
 かなり高度な知能を持っていると思いますよ。



 ただ、「最近の若者は…」というオッサンの愚痴は、
 意外に人生のヒントだったりします。

 そういう人たちの「最近の若者は…」という言葉は、
 単純に「そういう奴なら認めてやろう」という
 その人の個人的な要望を表しているのですが、
 そこに到達すると、一気にその人を引き込むことができます。


 どこぞのオッサンが
 「最近の若者はマナーを知らない」と言っているのを聞いたら、
 一つか二つでもいいから、マナーを知っておけばいいのです。

 料理を食べに行って、正式なマナーをいくつかサッとやる。
 それだけで、「こいつ、実はやるんじゃないか」
 という印象を持たれます。

 
 「最近の若者は、本を読まない」という声を聴いたら、
 読書家の方に一つだけでもお勧めのシブい本を教えてもらって、
 たった一冊でいいからその本を読んでおく。

 「おまえ、本ぐらい読んでるのか」と年配の方から言われたら、
 その一冊だけでも伝えておくと、
 「こいつ、シブいもの読んでるな…。実は隠れ読書家じゃないか」
 という印象を持たれます。


 どうして、ちょっとだけ足を踏み入れただけで
 「なかなかやるな」と思われるようになるかというと、
 その足を踏み入れるという姿勢が好まれるからです。

 「最近の若者はマナーを知らない」と言っている文句は、
 マナーの知識がないことを言っているのではなく、
 マナーについて興味を持ってほしいという願望なのです。

 「最近の若者は本を読まない」と言っている愚痴は、
 読んでいる読書数が多くなければならないというわけではなく、
 本を読むことは良いことだと知っていて欲しいだけなのです。


 「おっ、興味はあるんだな」ということを知ってもらうだけで、
 年配の方々は認めてくれます。

 ちょっとでも知っておく、
 ちょっとでも興味を向けている、ということが大切です。



 「最近の若者はこうだから困る。
  でもおまえはどこかちょっと違うな」

 と言わせてみて下さい。

 就職して会社に入ったら、社会は年配の方ばかりです。

 年配の方に無理して好かれたいと思わないかもしれませんが、
 年配の方にちょっとでも好かれる性格を持っていると、
 仕事が何十倍もやりやすいんです。

 そして就職活動でも、面接官はみんな年上なのですから、
 「社会に出ても年配の人から好かれそうだな、こいつ」
 と思われる人がすぐに採用されるのです。


 「最近の若者は…」というフレーズを聞いたら、
 自分をちょっと高めるヒントだと思いましょう。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・年配の方は、どんな若者が好きで、どんな若者が嫌いだと
   思うか。自分の考えをノートにまとめてみる。
  ・年配の方々から教わりたいことを、ノートにまとめる。

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 【第2501回】 就職活動と学ぶ姿勢
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 <就職活動篇>(その206)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。


 
 私の事務所にも現役大学生のスタッフがいるのですが、
 大学生スタッフを受け入れるようになったのは、4年前です。

 それまでに、たくさんの大学生が面接にやってきて、
 100人以上の学生を受け入れました。
 面接だけでいうと、その数倍です。

 就職活動が余裕で有利になるノウハウを持っている事務所なので、
 最初は学生たちも意気高らかにやってきて、全員が全員、
 「ヤル気はあります。私は決めたことは絶対にやります」
 と言います。確実に全員が言います。

 ところが、実際に仕事や企画をやらせてみて、
 本当に最後までヤル気があって、
 決めたことは絶対にやるという人は、
 10人に1人いればいいぐらいの確率なのです。

 学生はだいたい、そんなものです。
 言ったことを守るというだけのことができる人も、
 こんな確率でしかいないのです。


 で、実際にきちんとやっていった学生は
 良い会社に就職してその後も良い活躍をしているのですが、
 脱落していったりテキトーにやっていた学生は、
 その辺の会社に入ってその辺の仕事をやってます。
 つまりその人ではなくてもできる仕事になってしまうのです。

 だから、たとえ確率が少なくても、
 きちんと正しい考えで仕事に取り組めるその珍しい学生は、
 バリバリ社会で活躍していってくれるので、
 その機会を与えられるのはとても喜ばしく思います。



 数多くの大学生を見ていると、その傾向は分かります。


 東京の大学生には、
 誰でも知っている名門の一流大学の学生もいれば、
 あまり知られていない偏差値の低い大学の学生もいます。

 どちらのほうが仕事がよくできるかというと、
 実はあまり、学歴は関係ありません。

 確かに、モノをよく知っているとか勉強ができるというのは、
 偏差値の高い大学のほうが、そういう学生が多いです。

 ところが、仕事がよくできるかどうかは、
 勉強や知識はあまり関係がないのです。
 ちょっとは仕事の足しになるかも、という程度です。


 ダメな学生の傾向は、決まっています。


 ・ちょっとの才能を鼻にかけて、
  身体で動くよりも頭でしか考えないタイプ


 これが一番、使い物にならないタイプの人間です。



 例えば、小論文が得意だとかなんとかで、
 ちょっと文章が得意ですと自慢げな学生がよくいます。

 しかし、どれだけ文章が得意だと言っても、
 社会に通用するレベルの文章を書ける人はそんなに多くなく、
 ほとんどが、あまり大したことがありません。

 どうしてそうなのかをきちんと指摘した時に、
 「なるほど、そのとおりです。こんな感じでしょうか?」
 と素直に聞いてすぐにでも手直しをする学生は、
 ものすごく将来性があります。

 ところが、ダメな学生は頭で考えるばかりで、
 「じゃあまた考えさせてもらいます」
 と言ったまま何日間も考えているだけで先に進まなかったり、
 「そんなこと言うなら、分かってもらえるところに行きます」
 とラクなほうに逃げてしまおうとします。

 先に進まなかったり行くべき道を回避したりするわけだから
 当然、まともな能力がつかないまま三流の道を歩みます。

 ちょっとした能力を持っているからこそ、
 そういう低い限界に留まってしまうのです。



 最初はそれほどの能力がないとしても、
 これからの将来の能力の伸びのほうが大切です。

 だから、最初からちょっとした才能があって
 それを鼻にかけて何も動かず斜に構えている奴よりも、
 最初はそれほど才能を感じないけれども
 ひたむきに話を聞いて身体で取り組んでいきそうなタイプが、
 これからの社会には求められるのです。

 今、自分はどれだけの才能があるのかということより、
 今から、自分はどれだけの才能を吸収できるか、
 ということを気にするようにしましょう。

 そのためには、自分のちっぽけな才能に溺れずに、
 ひたむきな心を持つようにするのです。


 面接官も、そういう学生を探しているのです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・「才能があるのに伸びない人」と「才能がないのに伸びる人」
   の違いを、ノートにまとめる。
  ・自分が今日から意識しなければならないことをノートに書く。


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 【第2508回】 就職活動と情報力
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 <就職活動篇>(その207)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 これまでの『ビジネス発想源』の、
 学生向けではない社会人向けの通常の内容を見ていると、
 儲かっている会社、成功している会社には、
 2とおりの会社が存在していることが分かると思います。


 その2とおりの会社とは、


 ・広告宣伝をたくさんやって、儲かっている会社

 ・広告宣伝など全くやっていないのに、儲かっている会社


 です。


 学生の皆さんが成功例を読んだ時に、

 「ああこの会社は知っている。よくテレビCMで見る会社だ」

 という場合と、

 「えっ、こんな会社知らない。有名じゃないのに儲かってるのか」

 という場合があると思います。



 毎年、学生の人気が集まる会社は、
 「広告宣伝をたくさんやっている会社」です。

 CMや広告などでたくさん目にして、知っているからです。

 私はこのお菓子の味とあのお菓子のCMが好きだから、
 〇〇製菓とXX製菓を受けに行こう、などと考えます。

 別にそれが悪いとは言いませんが、
 みんなそうやってその会社に集まってくるので、
 そういう学生同士の熾烈な争いになります。

 結局、「宣伝を情報源にしている人」ばかりが
 集まってくるんですね。



 ところが、学生にとっては不思議でしょうが、
 世の中には「一般的には有名じゃないのに儲かっている」
 という会社が、ものすごくたくさんあります。

 「宣伝で儲かっている」というわけではなければ、
 何で儲かっているのか。

 それは卓越した技術かもしれないし、特許かもしれないし、
 市場に早めに手を打っていた先駆者的利益かもしれません。
 いろいろな理由があります。

 そういう会社には、
 「宣伝を情報源にしている人」は集まりません。

 だから、本当の意味での情報力を持った人しか来ません。

 世の中の動きをきちんと見ていると、

 「ああ、この会社は宣伝をしてなくて全然表舞台に出ないけど、
  ものすごい技術を持っていて、ものすごく儲かってるな」

 ということが、見えてきます。

 そういう会社のほうが、

 「広告宣伝に余計な広告費を回すぐらいなら、
  社員に還元してボーナスたくさん払ってやった方がいいや」

 などと社長が考えていて、
 ものすごく幸せな給料がもらえたりします。

 そういう会社を見つけることができるかどうかは、
 学生の情報力によるのです。



 「この商品とあの商品のCMを知っているから、
  〇〇製菓とXX製菓を受けに行こう」
 という考えの「宣伝だけが情報源」の人間は、小学生レべルです。

 スーパーで仮面ライダーソーセージを見て
 「これテレビで見たやつだ。食べたい」と言って買ってもらう。
 そんな小学生の考え方と一緒です。

 小学生レベルの考え方で就職活動をやってしまっているのです。


 本当にお菓子が好きだったら、
 本当に製菓業界の未来を変えたいと思っているなら、
 もっと業界の流れが見えてくるはずです。

 確かに宣伝をしているのは〇〇製菓とXX製菓だけれど、
 実はその両方の会社のパッケージングを牛耳っている会社、
 その両方の会社の香料の製造技術を保有している会社や
 原材料の輸入流通ルートを押さえている会社など、
 その会社がなければ〇〇社もXX社もやっていけないぐらい
 要衝を押さえている会社があるのだと分かります。

 そういう会社のほうが、がっつりと堅実に儲けていたりします。

 広告宣伝で生きている会社のほうが、
 広告宣伝を抑えたからその分儲からなくなったとか、
 他社が似たような広告宣伝をしたから不振になったとか、
 ちょっとしたことで揺らいだりします。

 そして、「宣伝だけが情報源」で入社したとしても、
 やがてそういう裏で堅実に儲ける取引先の存在を知って、
 自分は商品を納品しながら
 「どうして自分はこんな商品のために日夜働いてるんだろう…」
 などと愚痴を漏らすようになっていくのです。

 そんな人が、毎年ごろごろいます。

 「宣伝だけが情報源」の人は、情報がとにかく薄いので、
 仕事に対して何も誇りが持てなくなるんですね。



 もう大学生なのだから、もういい成人なのだから、
 そろそろきちんとした情報力を持たなければなりません。

 いつまでも、小学生レベルの情報力で会社を選んでいるようでは、
 同じような人が集まって競争率の高い会社しか出会えないし、
 入社したとしても大して仕事は面白くないですよ。

 今の自分の情報力が、将来を変えるのです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・「自分の知らない会社」を知るためには、どのような情報源が
   必要か。7つ、ノートに挙げてみる。
  ・そのうちの2つを、さっそく探しに行く。

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 【第2515回】 就職活動と切片能力
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 <就職活動篇>(その208)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 大学に進学するほどの学力の持ち主である学生の皆さんは、
 中学生の数学で学ぶ「一次関数」ぐらいは
 余裕で理解していることでしょう。


 中学生の一次関数で、
 「切片(せっぺん)」という言葉を習いますよね。

 切片、ご存知ですか?

 私は数学が大の大の苦手なので、
 一次関数の話を文章で表すのがとても大変なのですが。。。

 y=ax+b のグラフを書いた時に、
 その直線がy軸と重なる部分のbの値のこと、
 ですよね。

 つまり、x=0 の時のyの値になります。



 さて、今日の「就職活動篇」は、
 別にSPIテストの一般常識の数学の話ではありません。

 就職面接の話です。



 就職面接で、面接官は学生のどこを見ているか。

 多くの学生が、それを勘違いしてしまうので、
 就職活動に際して用意するものを間違えてしまいます。


 就職面接、つまり企業側から見た採用活動というのは、
 「有能な学生を買う」
 という活動だと思っていませんか?

 有能であれば仕事ができるから、雇いたい。
 それは当然のことだと思うかもしれません。

 でも、面接官が見ているのは、
 「有能な学生かどうか」よりももっと別のところです。

 企業の採用活動とは、「有能な学生を買う」のではなく、
 「有能になる学生を買う」ことなのです。

 これから使い物になる、これからどんどん吸収してくれる、
 そういう学生を探しているのです。


 というのも、どれだけ能力を有していても、
 学生なんて採用しても当初は大して使い物にならないのです。

 学生が有能な能力だと思っていることと、
 実際のビジネス界での有能な能力とは全然違うからです。

 「今、私はこんなにも能力があります!」と言っても、
 「あっそう」で終わって、次の話題に行きます。

 今持っている能力を見ると言っても、
 どれだけ有能になりそうか、どれだけ吸収してくれそうか、
 という判断基準でしかないのです。


 x軸を年数の経過、y軸を有能さとした一次関数を書いた場合、
 y=ax+b のグラフの a の値を見ているわけです。

 (私たちはaは「傾き」と習いましたが、
  今の中学校では何ていうんでしょう?)


 「こいつはずっと伸びていきそうだな」
 「こいつは急激に伸びていくぞ」

 という、将来の成長度を見ているわけですね。


 それに対して、多くの学生がアピールしてしまう
 「私は今こんなにも能力があります!」
 というのは、現在の能力値b、つまり切片なのです。

 だから、
 「私は明るい人間だと言われます。だから一発芸やります!」
 とか言って今をどれだけ目立つかに賭けたり、
 「私はこんな資格を持っています!」
 と言いたいために、慌てて資格を取ろうとしたりします。 


 面接官は長年、そういう学生を何万人も見ているのです。

 そして、切片bをアピールしたところで、
 「そういう奴ほど、y=bのままなんだよな…」
 という経験則を知っているのです。


 模擬面接で面接慣れをする、
 インターンシップをしたという事実を手に入れる、
 TOEFLやTOEICで高得点を取るために勉強する、
 といったことは、
 あくまでも現時点での能力値や経験値を上げることです。

 それをいくら準備したところで、
 面接官には「ハイ分かりました」と2秒で流されます。
 もっと次のことが知りたいからです。

 

 高校受験や大学受験は、切片を競うテストです。
 試験の日の時点での学力で優劣を競うテストだからです。

 でも、就職活動は違うのです。
 いつまでも大学受験のつもりで受けていたら、間違います。


 面接官が見ているのは、現時点での切片的能力ではない。
 では、面接官が見ているという「a」とは何なのでしょう?
 なにをもって、成長度の傾きを計るのでしょう?

 考えてみましょう。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・ノートにx軸を年数の経過、y軸を能力の高さとした
   「y=ax+b」の一次関数のグラフを書き、
   aの値とbの値は何を表すのかを記入する。
  ・aの値を上げるには何が必要か。考えてノートに書く。

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 【第2522回】 就職活動で頼る人
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 <就職活動篇>(その209)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 先日、当事務所の学生スタッフたちがUSTREAMの番組に生出演し、
 私もその放送に立ち会っていたのですが、放送の終了後、
 出演した女子大生3人が大学3年生ということで、
 間もなく迎える就職活動の話になりました。

 その学生の中の一人が、先日学内で開催された
 就職活動のセミナーみたいなやつに参加したらしく、
 就職コンサルタントっぽい講師がどんな話をしたかを
 詳しく教えてくれました。

 そして、そのセミナーで使われた1枚のレジュメを見せてくれて、
 そこには自己紹介っぽい文章が8通りぐらい書かれていたのですが、

 「これは全部、エントリーシート用の自己紹介文ですが、
  これらはほとんどダメな自己紹介文で、
  この中でOKなものは2つしかない。どれでしょう?」

 みたいなテストだったんですね。


 読んだんですけど、どう考えても全部ダメなんですよ。
 良いものが一つもない。

 すると、その学生スタッフは、
 「講師の先生は、これとこれが正解だと言ってました」
 と言うんです。

 どこがだよ、と思いました。

 そりゃ、確かに文章としてはこぎれいに書いているけれども、
 こんなので受かるわけないじゃん、という文章でした。


 就職コンサルタントが、頭で考えた結果なのです。

 自分が経営者としての立場で読んでも、大したことないし、
 自分が会社員時代に採用担当をしていた頃の感覚を
 思い出しながら読んでも、どう見てもOKが出せない。

 こんな、小手先の語句いじりをしたところで、
 エントリーシートが通過するわけがないんです。


 世には就職コンサルタントとか就活アドバイザーとか
 キャリアコンサルタントとか内定支援アドバイザーとか、
 大層な肩書を名乗っている人はたくさんいるんですが、
 あんまりそういう肩書の人は信用するほどではないですよ。

 全員がそうとは言いませんが、
 あまり世の中に通用する実力が持てなかった社会人が、
 格下の学生相手であれば偉そうな顔をできるはず、ということで
 そんな肩書を名乗っているという場合が多いですから。

 なので、エントリーシート添削会とか、模擬面接とか、
 就活何とかワークショップとか、そういう類のイベントに
 足を運んでいる時点で時間のムダだったりします。
 もっと、有意義な時間の使い方をしたほうがいいです。



 では、就活アドバイザーみたいな人に頼らずに、
 どうやって情報を仕入れたらいいんですか、
 と反論したい学生も多いでしょう。

 極論を言うと、明らかに能力があって人間性も良ければ、
 就職活動の情報なんてそんなに要りません。
 企業のほうから「採りたい」と言ってくれるからです。

 それだったら、就活の専門家のような人に頼るよりも、
 能力をしっかり鍛えて自分を頼ったほうがいいです。


 でも、どうしても有識者から話を聞きたいと思うのであれば、
 簡単なことです。

 企業の経営者や人事部長などに話を直接聞けばいいのです。

 就活の専門家を自称する人間よりも、
 実際に採用する側の人から話を聞けば早くて正確です。

 「御社に入るにはどうすればいいですか?」
 という話をするのではありません。 

 「普通、会社ってどういう学生が欲しいんですか?」とか
 「普通、会社って面接の時に何を見てるんですか?」
 といった一般論を聞けばいいだけです。


 「学生が、社長や部長などに簡単に会えるわけないじゃないですか」
 と反論したくなる学生も多いでしょうが、
 実際に動いたこともない人間ほど、反論します。

 世の中に、会社は何十万社、何百万社とあるのです。
 ということは、社長や人事担当者もそれぐらい人数がいるわけで、
 街を歩いている人の何十人かに一人は、
 社長や採用担当者だったりするわけです。

 会う機会は、いくらでも作れます。

 実際に、当事務所の学生スタッフたちは
 いろんな会社の社長や役員へのインタビューに同行するし、
 それぐらいだったらうちの事務所を頼らなくても、
 学生だけで簡単に企画して実行できます。

 そもそも、これから就職して社会に出ようという人間が、
 「社長に会うにはどうしたらいんでしょうか」
 なんて悩んでいる時点で、頭を働かせていない器械人間です。

 そういう機会を自分で工夫して創り、自分から動いていく。
 それが成人というものです。

 そんな工夫や行動ができない人間が、
 その辺で簡単に捕まえることができる
 得体の知れない自称専門家に頼ってしまい、
 薄い内容のセミナーで妙な納得をするに留まってしまうのです。



 より正確でより深い情報を得たいのであれば、
 それだけ自分で工夫して自分で行動すること。

 今からでもやってみたほうがいいですよ。

 就職活動のための資格の勉強とか、インターンシップとか、
 模擬面接とかに時間を割くより、よっぽど有意義です。

 

 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・「企業が求める人材」について、より深くより正確に知るため
   には、どのような人に話を聞くのが最もよいか。ノートに書く。
  ・その人たちに話を詳しく聞ける企画案を、ノートに書く。


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 【第2529回】 就職活動の一般常識テスト
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 <就職活動篇>(その210)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 就職活動にはよく「一般常識テスト」がありますが、
 あのテストはその名のとおり、
 あくまでも一般常識のテストです。

 「今日から一般常識の問題集で予習をしないと」
 と言って一夜漬けで勉強しようとしている人がいますが、
 一般常識なのだから、勉強とは違います。

 一般的な常識なのです。

 本屋さんで一般常識の参考書を手に取ると、
 かなり分厚くて「こんなに覚えなくてはいけないのか…」
 と大変さを感じてしまいがちですが、
 そんなに重荷に感じることはありません。


 一般常識とは、一般的な常識ですから、
 中学生や高校生ぐらいで知っていれば十分、
 という程度のレベルのものしか出題されません。

 中学生レベルなのです。

 一般常識は、「この程度は中学生レベルなんだ」
 という意識で向き合わなければなりません。

 いつまでも高校受験や大学受験の時と同じように、
 「これは就職活動生が勉強すべきものなのだ」
 と思っているようでは、大して身に付かないのです。



 そんなに勉強に自信がなくても、
 塾の講師や家庭教師のアルバイトをしている大学生は、
 一般常識テストは大の得意のようです。

 いつも中学生や高校生を相手にしているから、
 中学生や高校生が知っておかなければならない
 常識的レベルはどれぐらいかということを
 体感的に知っているからです。

 私も、あまり偏差値が高くなくて学力はダメでしたが、
 学生時代は中学生相手の塾の講師をやっていたので、
 就職活動の一般常識テストで落ちたことが一度もありません。

 どうしてこんな中学生レベルのテストを
 大学生にさせるんだろう…と不思議でなりませんでした。


 だから、一般常識テストとは受験のような学力テストとは違い、
 「よっぽどのバカだったら、落とさねば」
 という程度のテストなのです。

 「こんな中学生レベルの常識問題を
  大学に行っていながら分からないようなよっぽどのバカなら
  ちょっと入社させられないよなあ」

 という、採用側からすると保険的なテストなのです。


 それを、受ける側が「大変なテストだ」と思っていると、
 いつまで経っても大きな存在として立ちはだかります。

 「こんなのは中学生レベルなんだ」と思って、
 知識の確認程度にサラリと流すようなレベルなのです。


 就職活動を学力テストだと思っている間は、
 良い就職活動ができないと思って下さい。

 採用担当者は、テストの点数を見ているのではなく、
 もっと仕事に活きる別のところを見ているのです。

 ですから、何冊も「一般常識」の参考書を買ってきて
 時間をかけて解いているようでは、時間がもったいないです。
 もっと別のことに時間を使うべきなのです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・就職活動に「一般常識テスト」が存在する理由をノートに書く。
  ・「一般常識テスト」の参考書を買う以外に、一般常識を簡単に
   勉強できる方法をノートにまとめる。

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★ 【第2536回】 就職活動と専門分野
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 <就職活動篇>(その211)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 就職活動の面接では、
 自己PRで学生時代のことを話したりするわけですが、

 「私が学生生活の中で最も力を入れたことは、
  サークル活動です」

 「私がこれまでに最も頑張ってきたのは、アルバイトです」

 と、いきなり切り出す学生がたくさんいます。

 たくさんいます、というより大半です。


 それは、これまでに何年にもわたって何百人、
 何千人という学生を見てきた面接担当者にとって、
 「またか」という溜め息必至のアピールです。


 というのも、大学生というのは学生なのだから、
 大学で何を学んでいるのかが最も大切なことのはずです。



 その人の特性を知りたければ、

 「その人は、何の専門家なのか」

 ということを聴き出すのが一番早い方法です。


 外科医というと治療の専門家ですが、
 その中でもあなたは脳血管障害治療が得意なのですね、
 
 会計士というと財務の専門家ですが、
 その中でもあなたは食品分野の企業の経営分析が得意なのですね、

 魚屋さんというと海産物の専門家ですが、
 その中でもあなたは甲殻類の仕入に定評があるようですね、

 と、その人が何の専門家でその中でも何が得意分野なのか、
 ということを聞くことで、
 仕事を依頼しようとか、仕事を手伝ってもらおう、
 ということを判断します。


 それは学生でも同じことで、
 その学生は何の専門家でその中でも何が得意分野なのか、
 ということを聞くことで、
 一緒に仕事をしてもらおうと判断できるのです。

 学生の専門分野と言えば、学業のはずです。

 だから、履歴書には何学部の何学科かということを書きます。
 それは単なる学歴ではなくて、
 その人がどの分野に通じているかを表しているのです。



 ところが、何の専門分野かを知りたいのに、

 「私は〇〇が専門分野で、その中でも○○が得意分野です」

 という話をする前から、

 「私はサークル活動に力を入れ、ガッツならば負けません」

 「私はアルバイトに最も注力をして、笑顔には自信があります」

 と、いきなり全く違う方面に飛んで行ってしまっている学生が
 ものすごく多いのです。


 「面接がうまくいかない」と言っている学生の多くが、
 そのあたりを勘違いしてしまっています。

 面接官の求めている話ではないのです。
 全然違う次元の話から切り込んでいっているのです。



 「専門分野は何か、得意分野は何か」というのは、
 ものすごくシンプルな話です。

 そういうシンプルな話を伝えるだけで、
 面接担当者には知りたいことがきちんと伝わるのです。



 自分の専門分野は何なのか、
 その中でも得意分野は何なのか、

 ということを、明確に言えるようにしましょう。


 ただし、
 「それは、卒論はこれからなので、これから決まります」
 なんて言っている奴はダメです。

 卒論の話と専門分野の話は、これまた全然別です。
 (それぐらいは理解しましょう)

 今の時点で専門分野が言えないという人間は、
 人材として確立していない人間だということです。

 きちんと、言えるようにしましょう。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・自分の「専門分野」とその中の「得意分野」は何か。
   ノートに書く。
  ・社会人にその分野の「専門家」と胸を張って言えるように、
   今年中に強化していくことは何か。ノートにまとめる。


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 【第2543回】 就職活動と表情力
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 <就職活動篇>(その212)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 正直に言って、就職活動をしている間は、
 退屈な会社に出会うことも多くあります。

 退屈な会社説明会、退屈な企業プレゼン、退屈な面接などなど、
 退屈でつまらないだと感じることは、多々あるでしょう。


 ただ、退屈な空間に入った時に
 勘違いしてはならないことがあります。

 退屈な企業説明会や退屈な面接などに遭遇した時は、
 「退屈な空間」だと思っていても、
 「退屈な人間」にならないように気をつけなければなりません。


 例えば、企業説明会で発表をしている人事担当者の話が
 あまりにもつまらなくて退屈だったとしましょう。

 そんな時、多くの人が、
 「つまらないなあ、退屈だなあ」と感じて、
 つまらなそう、退屈そうな表情をします。

 これは、「退屈な空間」の中に、
 自分が「退屈な人間」として同化しています。

 こうなると、退屈な空間は何も変わらず時間だけが過ぎます。


 しかし、本当にビジネスの能力を有している人は、
 自分は「退屈な人間」にはならないのです。

 たとえ、つまらない発表が続いて
 「退屈な空間」になっていたとしても、
 自分だけは、興味津々で話を聞いている表情ができるのです。

 イヤイヤな気持ちで笑えということではありません。

 たとえ今が退屈な空間、退屈な話であっても、
 「何か面白い話が、これから聞けるのではないか」
 という、面白味を待つような表情でいなさいということです。



 面白い話を聞いている時に、楽しい表情をするのは普通の人です。

 話が面白くない時にも楽しい表情ができる人は、
 普通の人とは何が違うか。
 
 それは、面白くない話をしている人も、
 相手が「面白い話を聞きたい」と楽しい表情をしていれば、
 自分もつられて面白い話をしようと努め始めます。

 つまり、「退屈な空間」だと感じても、
 自分の表情や聞く姿勢によって、
 その「退屈な空間」を解消することができるのです。



 人事担当者も、つまらない話をしている時は、
 「こういう話はきっと、つまらないだろうなあ…」
 と、分かっています。

 分かってもどうしてつまらない話をするかというと、
 その話をしなければならない理由があるからです。

 「きっと、みんなつまらないと思っているだろうな…」
 と本人が思っている中で、
 興味深く聞く姿勢が出ている学生を見つけたら、
 「この学生は情報感度が高いぞ」と感じるわけです。

 みんながつまらないと思っている中から
 面白さをピックアップできるというのは、
 ビジネスにおいてはとても有用な能力だからです。



 たとえ「退屈な空間」にいたとしても、
 「退屈な人間」にならないようにしましょう。

 その「退屈な空間」を壊すことができるぐらいに、
 興味深い話を聞こうとする、
 楽しそうな姿勢と表情を持つようにしましょう。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・話している人間が、話を聞いている人を「良い表情」だと感じる
   としたら、どんな表情の場合か。ノートに書く。
  ・鏡を見ながら、その表情をやってみる。


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★ 【第2550回】 就職活動と力関係
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 <就職活動篇>(その213)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 大学3年生は就職活動シーズンを間近に控えて、
 いろいろ不安に思うことも多いでしょうが、
 一つだけ決して思い違いをしてはいけないことがあります。


 「採用する側」と「採用される側」は平等である、
 ということです。


 就職活動というと、
 学生が「お願いですから、御社に入れて下さい」と言い、
 企業側が「まあ、入れてやってもいいぞ」と言う、
 なんていう力関係を考える人が多くいます。

 しかし、本来はイーブンでなければなりません。

 企業側が学生を下に観てはいけませんし、
 学生も企業側よりも下だと思う必要もありません。

 「入りたいと思ったら、入りたいんですが」
 「採りたいと思ったら、採りたいんですが」
 という両者のマッチングが就職活動であり採用活動なので、
 どちらが偉いとかどちらが上とかはありません。



 ですから、就職活動とは、
 「内定を下さい」とペコペコするものでもないのです。
 
 むしろ、「内定を下さい」とペコペコしたところで、
 採用側はそんなに大して気にしていません。

 恋愛で、異性と付き合うかどうかを決める時に、
 「どれだけペコペコしてくれるか」は関係ないですよね。

 もし異性と結婚を決めるとすると、気にするのは
 「どれだけペコペコしてくれるか」ではないですよね。

 異性を見る時に「どれだけ下手に出るか」ではなく、
 もっと大切なことがたくさんあるはずです。


 同じように、採用側も、
 「どれだけペコペコしてくれる学生か」なんて見ていません。

 あくまでも、お互いが「良い」と思うかどうかなのです。

 「私と御社は合うと思うので、仲間に入れてくれませんか」
 「当社もあなたと合うと思うので、仲間になりませんか」
 
 と握手したいかどうかというのが
 学生の就職活動であり、企業の採用活動です。



 ですから、企業の「選考」という言葉にビビる必要はありません。

 企業が学生を「選考」するなど、本来なら偉そうな表現です。

 恋愛で「よし、異性を選考してやるか」とは言わないのと同じで、
 企業は学生を「選考」などできる立場ではないのです。

 それでも企業側が「選考」と偉そうに言うのであれば、
 学生と企業はイーブンですから、
 自分も企業を「選考」してやる、と胸を張って構えればいいです。

 「今から、あなたたち学生を選考していきます」
 と言っている会社があったとしたら、
 「じゃあ、私もあなたたたち会社を選考していきます」
 という意識で選考に臨んでみましょう。

 学生だって、企業を選ぶ権利は十分にあるのです。



 就職活動は、内定をお願いしに行く活動ではなく、
 相手を見つけに行く場所だと思っておきましょう。

 分からないことがあれば尋ねていいし、
 気になるところがあれば聞いていいし、
 嫌なところがあれば指摘していいし、
 許せないところがあれば離れて構わないのです。

 そうやって、お互いに理解を深めた上で、
 「仲間として一緒にやりたいね」という相手を探す。

 それが就職活動です。

 「どこか入社させてくれるところはあるんだろうか…」
 などと卑屈になる必要はありません。

 素敵な異性との出会いのときめきを楽しむように、
 素敵な会社との出会いを楽しみましょう。


 もっと胸を張って、就職活動を楽しんで下さい。 



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・異性の良さを判断する時、自分だったらその人のどんな部分で
   判断するか。気にする部分を3つ、ノートに書く。
  ・その相手を人間ではなく企業に置き換えてみると、その
   判断部分は何になるか。置き換えたものを書いてみる。

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★ 【第2557回】 就職活動とあがき活動
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 <就職活動篇>(その214)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 毎年、就職活動生を見ていて残念に思うのは、
 「あがく」学生が多いことです。

 就職活動を前にして、
 「これまで大して何もしていない」「今から何かしないと」と、
 必死になって何かを始める。

 これが「あがく」という状態です。

 就職活動を気にして、突然短期インターンを始めたり、
 模擬面接をやり出したり、資格の勉強を始めたりして、
 焦ってもがき出すんですね。


 「あがく」とは、活路を見出そうとじたばたすることですが、
 漢字では「足掻く」と書き、
 要するに溺れそうなので必死に水を掻いている様子です。

 「何かやらないと、まずい」と思って動き始めるのですが、
 そういう「あがく」活動を始める学生が、毎年とても多いのです。



 学生にとっては、「あがく」ことで、
 「何かをやった気持ちになる」ことができます。

 ところが採用担当者は、
 そういう「あがいた活動」は全く見ていないのです。

 そんなところに、採用に必要なものはないからです。



 皆さんが、カフェや飲食店などに、
 お客さんとして行く時のことを考えてみて下さい。


 たまに、お客さんが全く入らないために、
 全品50%割引にしたり、
 サービス券を乱発したりしている店がありませんか?

 こういうのが、「あがく」という行動です。

 瀕死の状態のお店を何とかしなきゃ、というので
 必死になってもがいているのです。


 そういうお店を見て、確かに割引していて安いけれど、
 「この安くてお店はいいなあ。一生このお店を使っていこう。
  お母さんや友達にもこのお店のことを紹介してあげよう」
 と思うでしょうか?

 結構、そういう「あがいているお店」を見ると、
 「ああ、この店はそんなにヤバいんだな」
 「この店はもうダメだな」
 と、ピンと感じませんか?


 なぜ、頑張ってあがいているお店が
 逆にダメだなと感じるかというと、

 そのお店は、
 「瀕死のお店を何とかすること」に頑張っているけれど、
 「良い店にすること」に頑張っているわけではないからです。

 つまり、「あがく」というのは
 目の前のことを打破するためだけに頑張っている状態なので、
 本人だけが必死になっていて、
 他の人には全く印象にも残らないことなのです。



 就職活動生が「あがく」というのはどういうことか。

 それは「就職活動のために必死に取り組む」ことです。

 「これをやったら就職活動に少しは有利になるんじゃないか」
 などと言って、短期のインターンを探したり、
 模擬面接セミナーに出かけたり、資格取得が気になったり、
 やっぱり留学して1年留年しようかとか思ったりします。

 そして、それが直近で頑張ったことなので、
 就職活動の自己PRで「自分が頑張ったこと」として、
 その「あがく活動」のことしか思い浮かばないのです。


 採用担当者は、そんな「あがき活動」のことは
 聞きたくありません。


 人生で最も印象に残っていることを聞きたい時に、
 「そう言えば先月頑張ったんですけど」という話を聞かされても、
 もっと違う話はないのかとうんざりします。

 「あがく」という言葉を辞書で引くと、
 「ふざける」という意味もあります。

 本人にとっては必死にあがいて頑張ったと思っていても、
 他人にとってはふざけた話にしか聞こえないのです。


 自分が今からやろうとしていることは、
 「就職活動のためだけの行動」ではないか。

 就職活動生には、
 常にそれを自問自答しておくことをお勧めします。 


 「あがき活動」は、はっきり言って
 人生の時間を無駄に浪費しているのです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・「就職活動の前にやらなければならないこと」をノートに
   全て書き出す。
  ・それらを「就職活動のためだけにやろうとしていること」と
   「そうではないもの」とに分ける。
  ・「そうではないもの」は何のためにやっているかを書く。


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 【第2564回】 就職活動とトレンド企業
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 <就職活動篇>(その215)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 話題の企業に行きたがる学生が、多くいます。

 2年前ぐらいから突然有名になってきて絶好調なので、
 景気が良さそうな会社だから入社したい、
 と思うようになるのです。


 それも一つの人生の決め方なので別に構わないのですが、
 正直言うと、そういうトレンド企業に行っても、
 自分の居場所はあまりないことを知っておきましょう。

 というのも、既に絶好調の加速が始まっている会社は、
 あなたがいなくても絶好調だからです。


 例えば、数年前までは社員が10名未満の小さな会社だったのが、
 2年前ぐらいからものすごく注目を集めて大きな話題になり、
 2年前に新卒を10名、昨年には50名、今年は100名も採るらしい、
 なんていう急成長の会社があります。

 こういう会社は、とても魅力的に見えます。

 とにかく今とても注目されている会社だし、
 何といっても採用数がそれだけ大きくなるということは
 内定をもらえる確率がそれだけ高い、と思うからなんですね。


 でも、そういう会社に入社しても、
 自分はただ単純に、3年前からいる10名の古参社員や
 2年前の10名の先輩社員など、少数の人たちが必死に頑張って
 創り出した絶好調の波に乗せてもらうだけです。

 波を起こしたのは、少数の頃から頑張ってきた人たちで、
 後から入る多数派は、波に乗っているだけだから、
 自分が乗らなくても波は勝手に起こっているのです。


 それを勘違いしてはいけません。


 注目され話題のトレンド企業に内定をもらえるのが、
 能力のある印ではありません。

 本当に能力のある人は、
 注目も話題も関係ないような無名の会社を、
 注目され話題のトレンド企業にしてしまうものです。



 だから、今話題だからとか、注目を集めているからとか、
 急成長しているからとか、何年連続増収増益だからとか、
 そういう理由で会社は選ばないほうがいいということです。

 その会社の信念が自分の信念と合致しているか、
 その会社の理念が自分が目指したい方向と合っているか、
 という、礎の部分を見なければなりません。

 そういう、自分に合う信念や理念の会社が、
 必ず上場企業の中にあるとは限らないし、
 増収をしている会社の中にあるとは限らないし、
 都心にあるとは限らないし、自分の地域にあるとも限りません。

 そういう会社は、苦労してでも探す価値はあります。



 トレンド企業かどうかで左右されないようにしましょう。

 トレンドは一過性のものです。

 最悪の場合、就職活動中はトレンドであっても、
 入社する時には既にトレンドが去ってしまっている場合もあります。

 社会とはそういう厳しい場所なのです。

 会社を選ぶ基準は、
 どんなことでなければならないと思いますか?
 


 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・会社を選ぶ基準を10個挙げ、1位から10位まで優先順位を
   つける。


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★ 【第2571回】 就職活動と自信の持ち方
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 <就職活動篇>(その216)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 先月にもお伝えしましたが、
 就職活動は、採用側と学生側の力関係はイーブンです。

 学生からすると、企業側のほうが偉くて、
 「採用して下さい」と下手に出なければならないような
 イメージがあるかもしれません。

 でも、企業側も「うちに興味を持って下さい」、
 「有能ならうちを選んで下さい」と思っているわけですから、
 力関係は対等であることが本来の姿なのです。


 たまに、調子に乗って自分のほうが上だと勘違いしている
 採用担当者ももちろんいるのですが、
 そういう人が採用担当者でもいいと思っている会社など
 働いても大して面白くないので、気にする必要はありません。

 自分も相手と同じ力関係の人材なのだと自信を持って、
 胸を張って就職活動をしましょう。


 「いや、学生の私たちの立場ではどうしても、
  企業の人たちと力関係が同じぐらいとは思えない」

 と思う人は、
 就職活動から離れて考えてみましょう。

 「学生はマーケットの最前線にいる」

 と思えばいいのです。


 マーケットとは消費者がモノを買う舞台のことですが、
 マーケットに商品やサービスを供給する企業側の人間は、
 だんだんマーケットが分からなくなります。

 いったいみんなは何を欲しがっているのか、
 どこにどう売ったらモノが売れるのか、
 ということが、分からないのです。

 分からないから、リサーチ会社を使って市場調査を行ない、
 広告費を垂れ流して宣伝をします。


 でも、学生は消費者として日々を過ごしています。

 お金があれば買うし、お金があれば買わない、
 好きなものは利用するし、嫌いなものは利用しない。

 そういう、消費者の一員なのです。

 だから、こういうのが欲しい、こういうのが買いたい、
 こういうのが流行るのは分かる、
 こういうのが人気が出始めている、
 という情報や完成は、企業人よりも余裕で上なのです。

 皆さんにとっては普通のことかもしれませんが、
 企業人にとっては、
 その考えをお金を払ってでももらいたいと思っています。

 学生の皆さんは、企業な情報をたくさん持っているのです。


 もちろん、市場動向については詳しくない、
 そんなに消費について真剣に考えたことはない、
 と思うかもしれませんが、少なくとも、
 「社会人よりも、マーケットの中で生きていますよ」
 という自信を持っていればいいのです。

 学生は企業人の下に位置しているのではなく、
 企業人が向いているマーケットの中にいる、
 と思うことです。
 
 それを意識できればきっと、
 就職活動に対する自信がかなり産まれてくるでしょう。

 自信を持って、就職活動に臨んで下さい!



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・採用側と学生側の力関係はなぜ対等でなければならないか。
   ノートにまとめる。
  ・採用者よりも学生のほうが優れている点は何か、ノートに
   まとめる。


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★ 【第2578回】 就職活動の志望動機の書き方
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 <就職活動篇>(その217)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 就職活動を始めることになると、
 やっかいだと思ってしまうものが、
 「志望動機」です。


 「志望動機を、どのように書けばいいか分からない」

 「志望動機は、どう書けばいいのか悩んでしまう」

 という学生が、毎年たくさん現れます。


 でも、「志望動機が分からない」っておかしくないですか?

 志望動機とは、志望した動機のことです。

 どうして行きたいと思ったのかという理由のことです。

 行きたい会社に対して、
 行きたいと思った理由をどうすればいいか分からない。

 これって、おかしいですよね。
 行きたいと思っているのに動機が分からない。

 どうして、そんなことが起こってしまうのでしょう。



 それにはいくつか理由があるのですが、
 その一つが、「動機が不純だから」ということです。


 例えば、ある大企業に行きたいとしましょう。

 なぜそこに行きたいと思ったかというと、
 有名な企業だから比較的高い給料を安定してもらえそうだし、
 社名が有名だから同窓会でも「すごいねー」と言われそうだし、
 お父さんやお母さんも喜んでくれそうだから、
 だったりするわけです。

 そんな学生は、志望動機はどのように表せばいいか。
 履歴書に書いたり面接でしゃべったりする志望動機は、

 「有名な企業だから比較的高い給料を安定してもらえそうだし、
  社名が有名だから同窓会でも「すごいねー」と言われそうだし、
  お父さんやお母さんも喜んでくれそうだからです」
  
 これでOKです。
 そう書くのが、正しい志望動機の書き方です。



 「いやいやいや、そんな志望動機を書くなんてありえない」

 と思う学生が多いんじゃないでしょうか。

 そう思うとしたら、そんな動機で会社を選んでいる、
 自分の就職活動のやり方がありえないのです。

 不純な動機で会社を志望する、
 そういう人間的にありえない就職活動をやっているから、
 志望動機ごときで悩んでしまうのです。



 志望動機は、別にスピーチコンテストではありません。

 どれだけ美辞麗句を並べられるかを競うものではなく、
 採用担当者は単純に、

 「どうして、うちがいいの?」

 という正直な部分を知りたいだけなのです。
 純粋に、それだけなのです。


 ということは、就職活動生が答えることはただ一つ、

 「だって、この部分に興味が引かれたんだもん」

 ということを正直に答えるだけなのです。
 純粋に、それだけでいいのです。



 つまり、志望動機をどのように語るかが重要なのではなく、
 会社をどのように志望するかが重要なのです。

 きちんと志望すれば、
 正直に志望動機を語るだけで何の問題もないのです。

 不純な選び方をしなければいいだけの話なのです。


 世の中にはたくさんの会社があります。
 ぜひ、本当の意味で自分に相応しい会社を探してみて下さい。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・学生の「正しい会社の選び方」とは、どのような選び方か。
   ノートにまとめる。
  ・その選び方で、自分の相応しい会社を探してみる。


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★ 【第2585回】 就職活動の志望動機の書き方
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 <就職活動篇>(その218)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。


 就職活動中の学生の皆さんから、
 エントリーシートを見てほしいという相談が
 とても多く来るようになりました。

 学生へは喜んで教えるようにしているのですが、
 エントリーシートについては、
 皆さん難しく考えすぎだなあ…と毎回思います。


 学生の皆さんからエントリーシートについて相談があると、
 必ずと言っていいほど、

 「このエントリーシートを、添削して下さい」

 と言ってきます。

 つまり、悪いところがあったら直して下さい、
 と言ってくるんですね。


 でも、エントリーシートの手直しの多くは、
 悪い文章を良い文章に変える、
 悪い表現を良い表現に変える、
 というものではありません。

 「バッサリ削る」のです。

 「これ、要らない」「これも、要らない」
 「こんなのは、要らない」「ここも、要らない」
 と、どんどん削っていくのです。

 削って削って、削りまくるのです。


 とにかく学生の皆さんのエントリーシートは、
 文章が長すぎるんですね。

 読む側も、暇ではないのです。

 何百人、何千人という学生のエントリーシートを読むなら、
 じっくり文章を読んでいる場合ではないわけです。

 だから、簡潔でなければなりません。
 すぐに読めなければなりません。

 そんな相手に、文章が長くても百害あって一利なしなのです。


 例えば、「趣味」の欄があったとして、

 「私は、小さな頃から書道に親しみ、文字の美しさを追求し、
  日本語の素晴らしさを学んできました」

 とか長々と書く人がいるんですが、
 その文章の「私は」という言葉も「小さな頃」という言葉も
 「日本語の素晴らしさ」という言葉も、
 絶対に必要なことかと言えば、大して必要ではありません。

 必要なことをバサバサと削っていったら、
 その文章の中で「趣味」の欄に残る文字は、

 「書道」

 の一単語で済むわけです。

 一単語で済んだら、空白がたくさんできますから、
 もっと別の「絶対に必要」なことを書くようにするのです。

 絶対に必要な言葉以外は、極力省いていく。
 それがエントリーシートの作り方なのです。



 まずは、上手な文章とか上手な表現といったことよりも先に、
 「削る」ことを考えましょう。

 削って削って、「絶対に必要」な単語だけを残したら
 どこまで削れるのかを考えるようにするのです。


 それができない人のエントリーシートなど、
 採用担当者からすると面倒で読む気も起こりません。

 まずは、バッサリと削る癖をつけましょう。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・一般的なエントリーシートに記入する自己PRをノートに
   まとめる。
  ・そこから「絶対に必要」な「単語」を抜き出す。


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★ 【第2592回】 就職活動と長所短所の表し方
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 <就職活動篇>(その219)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 毎年、就職活動の時期になったら現れるのが、

 「自己PRで、どのように長所を大きく言って、
  どのように短所を小さく言うべきだろうか」

 などと悩んでいる学生です。


 はっきり言って愚問です。


 何かの本を読んで
 「長所は良いように言って、短所はなるべく柔らかに」
 なんていうテクニック的なことを学んだらしく、

 「短所は『ひと筋になりすぎることです』などと言ったら、
  逆に集中力があることをアピールできる」

 など、小賢しいことを考え始めます。

 そういう小手先のテクニックは意味がないというか、
 採用担当者は長所をプラス、
 短所をマイナスという風に捉えているわけではないのです。

 むしろ言うなれば、
 小賢しいテクニックを使わない正直さがプラス、
 小賢しいテクニックを使おうとする狡猾さがマイナス、
 というぐらいです。

 単純に、面接官はその人の個性を見たいためであり、
 こんな長所があり、こんな短所があるという個性を見ているのです。

 長所を誇張して短所を隠すといったことをやっても、
 それだけリアルな個性ではなくなるので、

 「こいつ、なんか変な奴だな。信用できないな」

 と思われて終わりです。



 分かりやすく、スポーツで喩えてみましょう。

 あなたは、サッカーチームの監督で、
 これから入部する選手を面接していると思って下さい。

 入部を希望する選手に対して、
 「あなたは、どんな選手なの?」と尋ねた時に、

 「自分はフォワードとして積極的に得点へ結びつけます。
  そしてディフェンダーとして守りもかなり固いと言われます。
  また、ゴールキーパーの経験も1年間ほどあります。
  短所を挙げるなら、練習をしすぎてしまうということでしょうか」

 などとその選手が言ってきたら、どう思いますか?

 「こいつ、良く思われようとしてるだけだな」と思いますよね。

 というのも、サッカーはチーム戦ですから、
 いろんなポジションがあるわけで、
 「自分はどの位置でも活躍ができます。短所はありません」
 などと暗に言ってくる奴よりも、

 「自分は攻撃が得意です。守備が苦手です。
  短所はちょっとスタミナに自信がないことです」
 
 と、端的に正直にきちんと申告してくれる選手のほうが、
 「なるほど、ではこういう場面で使えるな」
 と判断できますよね。



 会社も、チーム戦なのです。

 会社がその人材の長所と短所を知りたいのは、

 「その長所ならばこういう仕事が向いているだろう。
  そういう短所ならば別の人間がカバーできるから大丈夫だ」

 と判断したいからなのです。

 長所を変に誇張したり短所を変に隠したりすると
 それだけ「捏造した個性」が出てくるわけで、
 リアリティに欠けて
 「こいつ、使えそうにないな」と思われるだけなのです。


 長所や短所はどう伝えたら内定が取れやすいか、

 などというテクニックはありません。
 
 正直に話せばそれでいいのです。
 「自分はこういう人間です」と正しく伝えるべきなのです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・自分の長所を、正しくノートにまとめてみる。
  ・自分の短所を、正しくノートにまとめてみる。
  ・その長所と短所を合わせて、自分自身を表すキャッチフレーズを
   20文字以内で考えてノートにまとめる。


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★ 【第2599回】 就職活動生の漠然選択
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 <就職活動篇>(その220)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 就職活動もいよいよ本格化していきますが、
 この時期になって、

 「会社の選び方がよく分からない」

 と言っている学生が、毎年たくさんいます。
 うんざりするほどたくさんいます。


 これは、大学受験で言ったら、
 願書の提出日ラッシュの頃になって、
 「大学の選び方がよく分からない」
 と言っているようなものです。

 自分の行くべき大学をきちんと決めておいて
 それに向かって勉強をしている人は、
 「こういう方向に向かいたい」という考えで勉強します。

 大切な時期になるまで何も考えていなくて
 提出日間際になって大学を何とか選ぶという人は、
 「区切りが来るので、こういう方向に向かう、ということにしよう」
 という考えになってしまいます。

 そういう人は、自分が進む道を選んだ理由が、
 「どこかに願書を提出しなければならなかったから」
 ということになります。


 これと同じような人が、
 就職活動ではますます激増しています。

 就職活動というものをナメている学生が
 それだけ多いのだということです。


 自分が入社したいと思う会社を、
 ただ単純に、
 
 「就職活動が始まって、どこかに就職しないといけなくなったから」

 という理由で選んでいる人が多いということです。


 そういう理由で会社を選んでいる人は、
 後が苦しくなります。


 焦って会社を選んでしまうので、

 「とりあえず選ばなければならないから選んだら、
  何となくここがよかった」

 というような選び方になります。

 そうなると、面接の時に
 「当社を志望した理由を教えて下さい」と言われても、
 何だかよく分からないことをしゃべってしまいます。

 選び方に信念がないから、
 「御社の将来性に可能性を感じました」といったこととか、
 「御社の商品を愛用させて頂いたんですが」とか、
 とってつけたような漠然としたことを話してしまうのです。



 合同企業説明会に行くと、たくさん企業が並んでいるから、
 志望する企業を選ぶのは困らないだろう、
 なんていう考えの学生が、会場にうじゃうじゃといます。

 「合コンに行って複数いる異性の中から結婚相手を選ぼう」
 というようなランダム志向の恋愛観と同じようなもので、
 その中からとりあえずいい人をピックアップしても、
 「私のどこがいいんですか」という理由に対して、
 「うーん、なんとなく目元がいいです」みたいなことになります。


 漠然とした企業の選び方をすると、
 それだけ志望動機も漠然としたものになりますから、
 「漠然とした学生だなあ」と思われて落とされる、
 それの繰り返しになります。


 だから、就職活動生が考えなければならないのは、

 「漠然とした会社の選び方」ではない会社の選び方
 とはどういうことなのか、

 ということです。

 どういう会社を選ばなければならないか、というのは、
 「就職活動篇」以外の『ビジネス発想源』を読んでいれば、
 そのヒントは余りあるほどたくさん見つかると思います。
 

 会社はどのように選ばなければならないでしょうか?



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・人生を一緒に歩んでいきたい会社とはどのような会社か。
   自分の考えをノートにまとめる。
  ・人生を一緒には歩んでいけない会社とはどのような会社か。
   自分の考えをノートにまとめる。


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★ 【第2606回】 就職活動生の一点主義
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 <就職活動篇>(その221)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 「エントリーシートを書いたので、見てほしい」

 という学生からの依頼があったら、
 仕事の合間を縫ってなるべく見てあげるようにしていますが、
 (ただし、きちんとスジを通した依頼に限ってますが)

 学生が書いたエントリーシートを見ると、
 多くの人に似たような傾向が見られます。


 「一点主義に賭けすぎ」

 ということです。



 「一点主義」とは何かというと、
 一時点のことだけをやたらプッシュしている、
 ということです。

 例えば、

 「あなたの学生生活はどのような学生生活でしたか」

 というような記入欄があったとします。


 すると、一点主義の人はどんな書き方をするかというと、

 「私の学生生活で最もその成果を発揮したのは、
  2年生の学園祭の時でした。
  ステージで劇を発表することになり、30名以上の出演者の
  スケジュールを調整し、3ヵ月に及ぶ練習を取りまとめ、
  見事に全員で演じ切ることができ、大好評を得ました」

 みたいなことを書くわけです。

 これは、
 「2年生の学園祭の想い出」という一点を書いているだけです。

 「何々の資格を取りました」
 「何々という国に留学に行きました」
 「どこどこに海外旅行に行きました」

 そういうのは、全て一時点の話です。

 その一点だけをいくら膨らましても、
 その時点の想い出話にしかならず、
 その人の「人生」や「人柄」は全くつかめてこないのです。


 それは、「人生は、一線」だからです。

 良いこと言ったので、もう一回言います。


 「人生は、一線」です。


 線で語らない限り、その人の「人生」は見えてこないのです。


 それは、出来事を羅列しろというわけではありません。

 その人生を「一線」で表す単語や表現で
 簡潔に表すということです。


 例えば、

 「私が忘れられないのは、大学3年生の前半に書きあげた
  自伝的小説です。自分の中学時代の頃から起こった出来事を
  小説風に仕上げ、250ページもの文の量で書き上げました。
  その完成までには膨大な取材の量を重ねました」

 みたいなことを書いたとしても、
 これは「一点主義」の書き方なので、
 「ふーん、そんなこともあったんだ」と思われて終わりです。

 でも、

 「私は、学生作家です」

 「ジャーナリズム生活でした」

 みたいな言葉だと、
 たった一言なのにその人の人生が線で語れます。

 そういう、一線を表わす単語や表現を徹底的に探すのです。

 作家というならば、どんなものを書いたかいくつか挙げてくれる?
 ジャーナリズム生活というのは、
 どういうものかいくつか例を出してくれる?

 という続きの疑問に対するフォローの文章を
 書き加えればいいだけです。



 エントリーシートに限らず、文章とはそういうものなのです。

 一線を引いて、点を打っていく。

 作文でも本の執筆でも、そうやって書いていくのです。

 そして実は、そういう文章の書き方は、
 小学校や中学校の国語の授業でも習っているはずなのです。

 

 一点主義だと、いくらそこに情報を詰め込んでも、
 その一点の情報だけが伝わるだけで、(大して伝わらないけど) 
 その人の人生は伝わりません。

 エントリーシートがどうしてもうまく書けないという人は、
 まずはその一点主義から離れることを考えましょう。

 それだけでも、構成力はがらりと変わります。



 今回の内容に関して、理解できた箇所、疑問に思う箇所、
 質問や意見などありましたら、
 アンケート欄に書いてお寄せ下さい。

 個別に相談をしてあげるわけではありませんが、
 次回以降の「就職活動篇」で、
 ヒントをご提供できるかもしれません。


 ・学生読者の皆さんからのご意見・ご質問・ご感想などは
   こちらへ→ http://bit.ly/eAQqN1



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・文章の「一点主義」と「一線主義」はどのように違うか。
   ノートにまとめる。
  ・「一線主義」を意識して、自己PRの文章を書いてみる。


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 【第2620回】 就職活動と給料意識
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 <就職活動篇>(その222)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 もちろん、働くからには給料は必要です。

 だから、「何のために働くのか?」という理由を
 「給料をもらうため」と答える人は、たくさんいます。

 給料は、生きていく上ではとても大切です。


 でも、就職活動生が丘陵ばかり気にしていては、
 まともな就職活動はできません。


 「働くのは、何のためですか?」
 「お給料のためです」

 というのは、小学生の考え方です。

 「これやるから、お小遣いちょうだい」というのと
 それほど変わらない考え方なのです。

 でも、大学3年生や大学4年生にもなって、
 そういうアルバイトみたいな考え方をしているようでは、
 アルバイトみたいな仕事しか回ってきません。



 乱暴な言い方をすると、
 企業にとって新卒の新入社員に支払う給料は、
 ほぼ「捨て金」です。

 例えば初任給22万円だったとして、
 その新入社員に最初に支払う22万円は、
 その時点では確実にその対価のないお金なのです。

 絶対に、22万円分の働きはしませんから。

 机に座っていたら22万円がもらえるとか、
 名刺交換のマナーとかを教わって22万円もらう、
 といった感覚でいる人は、頭がおかしいのです。

 それでも、仲間になったからには給料を最初から払って、
 そのうちまた、新しく仲間になる若い人たちに
 22万円を支払っていけるような能力を付けてほしい、
 という、投資型のお金が新人の給料なのです。


 それを勘違いして、
 初任給は自分の値打ちだと思っていると、
 ろくな仕事に就けません。

 大した能力も持っていない、大した経験のない学生のうちから、
 「自分の給料はこれぐらいだと思います」
 などと、調子に乗ったことは思わないほうがいいのです。
 
 自分の給料、つまり自分の値打ちは、
 そのうち自分の活躍が答えを出してくれます。

 学生のうちから、給料など気にしなくていいのです。



 20代のうちから、
 「自分は今いくらもらえるのか」という考えで仕事をする奴には
 使えない人間が多いことを、企業側も知っています。

 だから、面接官の中には、

 「あなたはもし、給料がもらえないとしても、
  この仕事をやっていきたいと思いますか?」

 という意地悪な質問をしてくる人もいます。

 「えー、給料がもらえないのは困るなあ。
  でも嫌だと言って、面接を落とされるのも嫌だなあ」
 と戸惑ってまごまごしてしまいます。

 それは、
 「あなたは面接で給料がもらえなくてもいいと言ったから、
  給料は支払わなくてもいいですよね?」
 という意味で聞いているのではないのです。

 給料が先に出てくる考え方かどうかが知りたいだけなのです。

 だから、別に動じる必要はありません。

 「私がいっぱい稼ぐから、給料は出して頂きます」
 ぐらい言っても、全然問題はありません。

 
 ただ、そこを動じずに「ええ、働かせて下さい」と
 笑顔で言えるためには、何といっても、
 本当に給料無しでもやりたいぐらいの仕事を見つけることが
 とっても大切なのです。

 自分にとって、
 お金を払ってでもやらせてもらいたい仕事、
 (というのも変な表現ですが)
 お金をもらわなくてもとにかくやってみたい仕事は何なのか。
 ということをもっと真剣に考えるのです。


 「とにかくやりたい!」という仕事が分かれば、
 給料のことなんて気になりません。

 給料のことなど、
 「この年になったら再就職先も難しいし、
  住宅ローンもあるし、子供たちの学費もあるし…」
 というぐらいの年齢になって考え始めればいいことで、
 20代のペーペーのうちは、夢に向かったほうがいいのです。

 夢に向かっている人のほうが、笑顔が輝いているから、
 結局ちゃんと面接には受かるのです。


 自分にとって、
 給料のことなど気にならないような仕事とは、
 どんな仕事ですか?



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・自分にとって「給料をもらわなくてもやりたい仕事」とは
   どのような仕事か。ノートにまとめる。


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 【第2627回】 就職活動と一見PR
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 <就職活動篇>(その223)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 履歴書やエントリーシートの自己PR欄、
 また面接の自己PRの時に、


 「私は、とても明るい性格だと言われます」

 「私の特徴は、素敵な笑顔です」


 みたいなことを書いたり言ったりする学生をよく見ます。

 でも、こういうのは
 別に自己PRしなくてもいいのです。

 なぜなら、見たらすぐ分かることだからです。


 本当に明るい性格だったり、本当に笑顔が素敵だったりすれば、 
 別に文字や言葉でPRしなくても、

 「キミは、明るいねえ」

 「あなたは、素敵な笑顔をしますねえ」

 と言ってもらえるはずなのです。


 それなのに、履歴書やESには
 「私は明るい性格です」などと書きながら
 その文字がちまちま小さく暗そうだったり、
 「笑顔が自慢です」などと言いながら
 写真はフツーに決め顔をしていたりする学生が多いのです。

 
 特に書類選考の場合は、
 担当者はほんの数秒しか1枚を読んでいませんから、
 一瞬で「おっ」と思わせるコツが必要になります。

 それなのに、見て分かることを文字でいくら説明されたって、
 素通りされてしまうのは当然です。


 「明るい」のが自慢なら、
 文字で「明るいです」と説明するのではなく、
 明らかに明るい人間が書いたような履歴書にする。

 「笑顔」が自慢なら、
 文字で「笑顔が自慢です」と説明するのではなく、
 明らかに素敵な笑顔で写真を貼っておけばいいのです。

 「イラストを描くこと」が特技なら、、
 門司で「イラストが特技です」と説明するのではなく、
 そこにイラストを描いておけば一発で分かります。


 そうやって、「見たら分かる」ことは
 「見たら分かる」ようにしておくのが一番なのです。

 いちいち文字や言葉で説明するよりも、
 一発で理解させる癖をつけておかなければなりません。



 「履歴書の写真を笑顔で写るとは不謹慎だ」とか、
 「ESにイラストを描くなんて何事だ」
 とかいう理由で落とされるのではないか、
 と不安になる学生もいるでしょう。

 でも、そういう理由で落とす会社ならば
 「笑顔が自慢です」「イラストが得意です」といったことは、
 最初からその会社にとっては不必要なPRだということで、
 自分の良さを分かってもらえない会社だということです。

 そんな会社より、自分の良さを
 もっと分かってもらえる会社に行ったほうが幸せです。

 だから、そんな不安は気にする必要はないのです。



 「私は、バイトをこんなに頑張りました」
 と自分から言うのではありません。

 「自分は、これだけバイトをやりました」と事実を書くことで、
 相手から「それは、頑張りましたねえ」
 と言われるようでなければならないのです。

 相手から「頑張ったんですね」と言われない程度ならば、
 それほど「頑張った」というPRにはならないのです。


 「頑張ったんですね」
 「笑顔がいいですね」
 「明るい性格ですね」
 「人の話をきちんと聞きますね」
 「ちゃんとメモを取ってますね」
 「絵が上手ですね」
 「姿勢がいいですね」
 「芸能人の○○さんに似ていますね」
 「あまり緊張しないタイプですね」
 「ひとつのことに向かって真っすぐ進む人ですね」
 「物怖じしない人ですね」

 こういったことは、見たら一発で分かります。

 だから自分から言葉や文字で説明するのではなく、
 相手から「あなたはこんな人ですね」と言わせると勝ちです。

 言わせるぐらいでなければ、大したPR要素ではありません。

 だから、そういうことは
 いちいち書いたり言ったりしなくていいのです。



 「見たら分かる」ことを
 「見たら分かる」ようにして相手に悟らせる。

 それが、PRのコツです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・自己PRのための文章を200文字以内でノートにまとめる。
  ・相手が「見たら分かる」部分があれば、その部分に線を引く。
  ・その部分を、相手から言わせるためには、文字上ではなくて
   どのように工夫すべきかを考えてノートにまとめる。



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 【第2634回】 就職活動生の保持PR
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 <就職活動篇>(その224)

 ※今回は、就職活動中、もしくは就職活動を控えた学生向けです。
  その他の方は「自分だったら学生にどうアドバイスするか」
  「どういう学生だったら採用したいか」などを考えてみて下さい。



 就職活動の直前になると、
 自分自身に少しでもハクをつけたいからなのか、

 「資格の勉強をしようと思います」

 「インターンを見つけて行ってこようと思います」

 という学生がたくさん出てきます。

 まあ別に好きにすればいいですが、
 勘違いしてはいけないのは、
 資格を取ったりインターンを経験したりしたことそのものが
 就職活動にプラスになるわけではありません。

 その後の「だから、何なのか?」ということが大事です。


 例えば、TOEICで920点を取ったとします。

 だから就職に有利になるかというと、
 それ自体がすごく有利に働くことはほとんどありません。

 むしろ、「TOEICで900点以上という職種はないかな…」と
 自分自身で職種の範囲を狭めてしまったりして、
 逆に自分の可能性を縮めることの方が多いです。

 「920点取りました」ということ自体は、大して意味がありません。

 「私は、TOEICで920点取りました!」

 「なるほど。…それで?」

 と、その後を聞かれます。

 「920点取ったから、何ができるのか」
 「920点取ったから、どうしたいのか」
 といった、その後が重要なのです。



 そういう話をすると
 「言っている意味が分からない」という人も多いので、
 身近な例に置き換えてみましょう。

 例えば、定食屋や中華料理店に行ったとします。
 何か食べたいとしたら、何と言うでしょう。
 

 「私は、920円を持っています!」

 「そうなんですか。…それで?」

 と、店員さんはキョトンとしてしまいますよね。


 保持しているモノを自己申告されても、
 何を与えたらいいのか、何を求められているのか、
 提供する側は分からないわけです。


 「920円持っているので、麺類が食べたいです!」

 「920円持っているので、杏仁豆腐を食べます!」

 などと言ってくれれば、
 「かしこまりました」とか「こちらもお勧めですよ」とか、
 提供するものに関する話が進んでいくわけです。


 それと同じことで、
 資格や体験を「持っています」と自己申告するだけでは、
 相手は何をしていいかさっぱり分かりません。

 920点持っているから、何ができるのか、何がしたいのか、
 ということを明確に伝えなければ、全く意味がないのです。


 とは言っても、

 「920点持っているから、
  英語でコミュニケーションができます!」

 とかいった自己PRも、大したPRにはなりません。
 資格に見合う強みではないからです。

 「私はTOEICは受けてないけど、
  英語でコミュニケーションができます!

 という人と、言っていることは大して変わりません。


 「資格は何を持っています」
 「こんなインターンをやりました」

 ということ自体は、そんなに有利な条件ではありません。

 「いや、そんなことはない」と反論したい気持ちも分かります。

 「この学生はTOEICで920点もあるなら、英語ができそうだな」
 と思われるからいくらか有利、と思うかもしれません。

 でもそれは、

 「この学生は九州生まれだから、九州のお客様と仲良くなれそうだ」
 ぐらいの、個性レベルの長所に過ぎないのです。


 今どき、資格を持つとかインターンをするといった程度で
 目を見開くような採用担当者はいません。

 そんなことが採用の可否に影響していたのは、
 昭和40年代ごろの話です。

 だから自分は何ができて、自分は何がしたいのか。
 そういう、その後のことを伝えなければ全く意味がありません。


 就職活動は、自慢大会ではないのです。



 【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------
  <学生向け>
  ・「自分は社会に出て何がしたいのか」を、ノートに200文字以内で
   まとめる。
  ・「自分は社会に対して何ができるのか」を、ノートに200文字
   以内でまとめる。


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